現代に蘇るスウィングと甘美なハーモニー! 女性ボーカルデュオ『Laditte』に迫る
名古屋が誇る実力派ジャズ・ボーカルユニットにインタビュー――ふたりの女性ボーカルが本格的なスイングのリズムとハーモニーを生み出す。しかもひとりは”クラリネット奏者”、ジャズの二刀流だ。今回は聴けば誰もが笑顔になるボーカルユニット『Laditte』の魅力に迫る。
『Laditte』ってどんなユニット?
MuseMate編集部(以下、MM):それでは早速インタビューを始めたいと思います。
鈴木:はい、お願いします。
天木:よろしくお願いします。
MM:まず初めに簡単な自己紹介をお願いします。
鈴木:鈴木陽香(すずき はるか)です、ボーカリストとして名古屋を中心に活動をしております。
天木:名古屋を中心にジャズクラリネットを吹いております、天木瑠里子(あまき るりこ)です。
MM:ありがとうございます。今日はお二人のユニット”Laditte” (レディット)の活動についてお聞きしたいのですが、簡単に紹介するとどういったユニットなのでしょうか?
天木:Laditte は女性ボーカル二人でジャズスタンダードなどの曲をハモって歌うのが特徴的なバンドです。「Lady (レディ)」の「Duet (デュエット)」というのをくっつけて Laditte としたのが名前の由来です。
MM:演奏のレパートリーや、十八番のような曲はありますか?
鈴木:いろいろあるんですけど、かわいい系の曲が多いかなあ。"Tea For Two"とか"Candy"、"Cheek to Cheek"などですね。Pops系ならMaroon5の"Sunday Morning"、あと瑠里子ちゃんのお気に入りの「GENTLE FOREST JAZZ BAND」のカバーをしたりもしましたね。
天木:失恋というよりかは「恋しちゃって楽しい気分♪」みたいな曲が多いですね。Stevie Wonderのナンバーもやったりします。
MM:お聞きした感じだと基本的には、古き良き歌ものスタンダードをハモリでやられているという感じなのですね。
鈴木:そうですそうです、私が一応リードボーカルで瑠里子ちゃんがハモリを担当することが多くて、たまに交代する時もありますね。
MM:なんか「Andrews Sisters」みたいですね!
鈴木天木:あ〜!!
天木:そうそうそう、結構参考にしたりしています。
”ハモリ”のアレンジのやり方は?
MM:日本ではアカペラのグループはあると思うんですけど、Laditteのようにバンドがいて、固定のコーラスグループがフロントのジャズバンドとなると比較的珍しいと思うのですが、自分達の他にそういったグループはご存じですか?
鈴木:何年か前に東京で「Chai-Chee Sisters」というバンドが活動されていて、すごくかわいい曲を演奏されていて、瑠里ちゃんがその方々のファンで「こういうのやってみたい!」って言っていたんですよね。 名古屋だと森久子さん、司いつ子さん、榊原洋子さんの3人で「SWEET CATS」というバンドがありますね。
MM:ハモリのアレンジなどは、どのようにされているんですか?
天木:曲によって二人で役割分担して、音源を参考にしながら、どのラインを歌うかなどを決めています。
鈴木:ハモリの音ももちろん大事なんですけど、発音のタイミングやリズム、グルーヴをしっかり決めて練習していますね。
MM:この前MuseMateで配信していただいたようなリハーサルを頻繁になさっているということですね。
鈴木:そうですね!
『Laditte』活動の軌跡を紹介
MM:結成の経緯は、いつ頃、何きっかけで始めたのですか?
天木:いつだ?? 2018年からかな? もう4年目くらいですね。大学(名古屋音楽大学)が二人とも同じで卒業後はそれぞれ活動を始めていて、陽香ちゃんともライブで一緒になることがあって。陽香ちゃんと一緒にやると「私も歌いたいな〜」と思うようになっていました。
鈴木:もう4年もやってるか! 私もあんまり覚えてはないけど、ライブハウスのブッキングで瑠里ちゃんと一緒になることが多くて、例えばギター、クラリネット、ボーカルの3人で演奏させていただくことがあったときに「クラリネットでハモリを演奏したりできたら面白いよね」ってなったところから派生していって。聞いてみたら瑠里ちゃんも歌ってみたいとのことだったので、メインボーカルのハモリからやってみたというのが始まりだったと思います。
天木:Laditteとして活動する! となったのは歌でハモリだしてからだったと思います。それからはコンスタントに、多くて月2回とか2ヶ月に一回とか、ない月もあったけど頻繁にやらせていただいています。
MM:なるほど。メンバーはボーカルのお二人と、リズム隊は毎回固定ですか?
天木:固定にするか迷ったんですけど、リズム隊は固定ではないです。
鈴木:今は主に出演するライブハウスによってメンバーの傾向があるようになってきていて、Laditteの演奏を聞いて「一緒にやろうよ!」と声をかけてくださる場合や、私たちからもいつもとは違って挑戦してみたい時などはベテランの方にお願いする時もあります。
MM:このインタビューの直近でもLaditteのライブがあったと思うのですが、いかがでしたか?
天木:この前は名古屋のMr.Kenney’s (ケニーズ)というお店でライブさせてもらったんですけど、出演は今年の1月ぶりで、Kenney’sでよくやるメンバーと久しぶりの演奏だったので楽しかったです。昨日は「ジャズの演奏聞くのはここが初めてです」というお客さんもいて、楽しんでもらえたようで嬉しかったです。
鈴木:MuseMateさんでの配信の後だったのもあって、配信内でもたくさん喋っていたので、MCもノリノリでした(笑)
MM:(笑)配信、なかなか好評でしたね。MuseMate利用者さんからも、ラジオみたいで楽しかったとお声をいただいています。お二人でコンスタントにライブを重ねるなかで何か印象に残ったことはありますか?
天木:お客さんからLaditteに合うんじゃない? とレパートリーをもらったりするのは楽しいですね、例えば"Fly Me to The Moon"とか、あとあの「ため息の〜出るような〜♪」の、、
MM:『恋のバカンス』ザ・ピーナッツ!
天木:そう!それをやってみたりとか。楽しいです。
鈴木:Laditteの演奏する曲がキャッチーでかわいい曲が多いので、イベントに呼んでいただけることがあって、クリスマスとかバレンタイン、七夕、ハロウィンなど季節感のある曲を選んで用意して演奏するのが楽しくてよく覚えています。
MM:クリスマスとか合いそうですね!
鈴木:クリスマスソングもいろいろレパートリーがあるんですけど一年に一回くらいしかできないのが悲しい(笑)
MM:みんな一回のためにたくさん曲を覚えますもんね(笑) すでに4年ほど活動されているお二人ですが、初期と比べて変わったことや成長したことはありますか?
天木:私はハモリパートを担当することが多いんですけど、初めの頃はハモリを覚えるのがすごく大変でした。主旋律じゃないメロディをまず覚えて、リズムもしっかり合わせたかったので、しっかりリハーサルや練習を二人でしていました。今はもう初めの頃の曲は余裕で歌えますし、あとは単純に二人で歌えるレパートリーがたくさん増えましたね!
鈴木:初期の頃は瑠里ちゃんも歌い始めて間もなかったので、ボイストレーニングを私に頼んでくれて一緒に発声練習をしたりする中で、お互いに絆が生まれていって。初めの頃はハモリなどの練習をこなして演奏しなくてはいけなかったので、なんとなく発表会チックになってしまっていた気がしていましたが、今は曲にボリュームを持たせて構成していけるようになったかなと思います。
シンガー兼ボイストレーナー、鈴木陽香さんに迫る
MM:なるほど、ありがとうございます。 ここからはお二人個人の活動について質問をさせていただこうと思うのですが、鈴木さんはボイストレーナーとしてもご活躍されていますが、具体的にどういうものなんでしょうか?
鈴木:ボイトレの活動は、歌手活動やゴスペルクワイヤの指導者さんやアナウンサーの方など、声を生業とされている方のメンテナンスをしたり、歌唱指導やお悩みを解決したりします。
MM:ライブ活動との違いや、逆にボイトレとの関係性は何かありますか?
鈴木:ライブ活動とボイトレの活動は全然違っていて、自分が人前に立ち、エンターテインメントとして人を楽しませるのがライブ活動だと思うけれど、ボイトレは自分が歌うのではなくて「人に歌ってもらう」活動だと思うので、そこが大きく自分の中で違いますね。
MM:Laditteだと自分が歌う活動をしつつ、天木さんのボイトレ担当といった側面もあるのですか?
鈴木:最近はあまり瑠里ちゃんのレッスンはやっていなくて、本人がいろんなところに学びにっているようですね。初めの頃は声の出し方がわからない感じだったので、基礎的な土台を作るようなレッスンをしていましたね。
MM:レッスン生としての天木さんはいかがでしたか?
鈴木:すごい一所懸命で諦めずに何度も何度も挑戦する感じが素晴らしいなと!
MM:ボイトレを受けている人と受けていない人だと、どのような発声の違いがあるのですか? 何かポイントなどありますか?
鈴木:ポイントがありすぎて一言では言えないんですけど、普段喋るときと歌う時の音域には広さの差があって、それによって使う筋肉も違うんです。しかも自由に歌うためにはその筋肉を鍛えるいわば筋トレをしなければならないんです。ボーカリストは体が楽器で、体の鍛え方で声の鳴りが変わったりするので、体のトレーニングもしたりと様々です。
ライブとなると約2時間、ある程度大声を出さなくてはいけないので、アスリートと同じだと私は思っていて、しっかり体は鍛えよう、鍛えてあげようと思っています。ピアノの調律に近いですね。例えば「高い音がかすれるピアノ」でいい演奏をしようと思っても、難しいと思うので、それを調律してあげるようにトレーニングすると言った感じです。
MM:ありがとうございます。Laditteのようなボーカルデュオの活動が、ご自身のソロの活動に活きている、関係しているところはありますか?
鈴木:他の人の音が聞き易くなったと思います。ハモリを聞きながらも自立して歌うことを通して、バンドでも、自分自身が自立して歌うこと、メンバーみんなが自立して音楽することが大事だなと思いました。
MM:バンド内で各自がハーモニーでもリズムでも自立していること、とても大切ですよね。ありがとうございました。
クラリネットと歌の二刀流! 天木瑠里子さんに訊く
MM:次に天木さんにお伺いします。クラリネット奏者として活動されている天木さんですが、もともと歌は習っていたりやっていたりしたのですか?
天木:うん、歌は全然やったことがなくて。音楽療法の活動もしているのですが、その中で子どもたちと歌うことはありました。歌を習うことはLaditte結成して陽香ちゃんに習うまで一度もありませんでした。
MM:同じメンバーの鈴木さんにレッスンをお願いするのは勇気のいることでしたか?
天木:「楽しそう! やってみたい!」の一心でしたね。
MM:英語の曲を多く演奏されると思いますが、英語の発音などはどうされましたか?
天木:英発音のレッスンも受けました。ジャズは英発音がすごく大事で、発音が上手くないとスイングしなくなってしまうので、発声よりも発音を先にしっかりと勉強しました。
MM:英発音も陽香さんにレッスンを受けたのですか?
天木:英発音は偉大なジャズシンガーのCHAKAさんに習いました。CHAKAさんは国際英語発音協会の英語発音指導士の資格を持っている方で、CHAKAさんの話を聞くほど好きになりました。そのCHAKAさんの「Everyday発音レッスン」というものがあって、自分で録って送った英発音を添削して録音で返信してくれるオンラインレッスンで、耳で聞いて覚えるというレッスンを受けていました。
MM:それはすごくいいですね!
天木:そう、すごくいいんです。
MM:歌の活動とクラリネットの活動で「ここが違う!」「ここが難しい!」というところはありますか?
天木:なんだろうな、意識することがちょっと違うので一曲を歌ってアドリブソロをクラリネットで吹いてというのは大変というか、慣れだと思うんですけど、すごい疲れますね、 テーマの間はハモリを担当して、ソロの間はメロディを担当するので、ちょっと意識が違うんですよね。頭の中の違うスイッチを一つ押す感覚です。
MM:なるほど、おもしろいですね。逆に歌を始めてクラリネットの活動につながっていることはありますか?
天木:曲を演奏するときにどんな歌詞なのかを調べたりするんですけど、曲についてもっと深く理解できるようになりました。歌詞の内容や表現にも興味を持つようになってきて、例えば”My Romance”だと ♪No month of may~の部分、なんで5月が必要ないのかって疑問に思って、 この曲は「あなたさえいればどんなロマンスも要らない」という歌だと思うんですけど、まず5月のあの過ごしやすくてみんなが幸せな感じをロマンスとしているのがいいな〜と思ったり、あっ、あなたがいてくれるから5月必要ないんだな。と思ったりするようになりました。
『Laditte』の音楽をぜひ皆さんに聞いて欲しい
MM:鈴木さん、天木さん、お二人ともありがとうございました。最後に今後の活動や抱負を頂けますでしょうか?
鈴木:自分自身ももっともっと上手くなって相手の良さを引き出せるようになりたいなと思っています! ぜひライブにもお越しください。
天木:この前の配信ライブ、とても楽しかったので、またMuseMateさんでも配信ライブやっていけたらいいなと思っています。ジャズスタンダードのハモリはとても珍しいし、ポップスでハモるのとはまた違うハーモニーがとても聞き心地がよく、かっこいいです。そこがLaditteの魅力、推しポイントだと思ってます。
MM:ありがとうございました、本日は鈴木陽香さん、天木瑠里子さんのユニット『Laditte』についてインタビューにご協力いただきました、ありがとうございました!
鈴木天木:ありがとうございました!
そんなお二人率いる『Laditte』は2022年10月31日のハロウィン当日、12月23日両日に愛知県名古屋市新栄町にある「JAZZSPOT SWING」にてライブがある。お二人の息ぴったりのハーモニーと仮装?にも注目したい。
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